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Showing posts from October, 2018

Wikisourceの入力品質

今でも 近所のお店 に行けば手に入る文語(大正)譯とは別に、明治譯聖書といふものがあり、これが文學界から非常に高い評価を受けてゐるものであることは以前より聞いてゐたのだが、たまたまWikisourceに 明治元譯の新約テキスト が置いてあるのを知つて、手元の大正譯と讀み比べてみるのも一興かと、 全ルビのLaTeXを起こしてみた のが、どつぼの入り口だつた。 出來上がつたPDFを、さて、冒頭馬太傳から讀み始めたとたん、明らかな入力ミスと思はれる、おかしな假名遣ひや、意味の通らない節などに次々ぶち當たり、まともに讀み進めることが出來ない。 今思へば、ここで諦めるのがよかつたのだが、折角PDF(LaTeX)化プログラムも書いたのだし、以前から日本聖書協會出版の中附きルビが嫌ひで、いつかは肩附きルビの文語譯を自分で作つてみたいといふ希望もあつたので、 日本の古本屋 から明治二九年刊大日本聖書舘の新約全書を手に入れて、それと比べながらWikisourceの入力ミスを正してやらうと取り掛かつたのが、どつぼの二段目。 最初先づやつたのは、出來上がつた新約全書PDFを、意味に拘らず通しで讀む。明らかな假名遣ひの誤りや、明治譯には無い筈の句讀點や略體字、不自然な云ひまはしに出逢つたら、原本にあたり、ソースの誤りを正す。(想像を上廻る數の假名遣ひ及び助詞の誤り、ここでやうやく深みに嵌つたことに氣附くものの…) 次に、やはり通しで、今度は前後の文脈を捉へながら讀み進め、脈絡のつかない箇所に出逢へば、同じ處置をする。(漢字、片假名の誤りも少なからず…) 三度目は、さらに廣い文脈で意味をとりつつ讀み進める。その際理解に詰まつたら、大正譯や欽定英譯も參照しつつ、ソースの拔けや矛盾を探して正す。使はれてゐる漢字や片假名にも氣を配る。(節が亂れたり、そつくり拔けてゐるところもあつた) かうして現在四周目に入つてゐるが、Wikisourceにはもうかれこれ 二千箇所近い修正 を入れた。しかし、バグ曲線は未だ收束しない。信者でもないものが新約全書を四度通しで讀むことになるとは、自分でも、いつたい何がしたかつたのか、よくわからなくなつてきてゐる。 オリジナル入力は、かなりの力作であり、頭が下がる思ひだが、なにぶん一人での作業らしく、ミスが多く、未だ未だ校正が必要で、現在のとこ